ふ、と目が合うとイキオイよくブン!という音が聞こえそうなほど目を逸らされる。
わたしには意味がわからないしやたらと傷つく。
でも、何か意味があっての行動なの?と、気になってしょうがない。

「三橋くん!」
「……」
「ねぇ、三橋君ってば!!」

なんでこっち振り向かないのよ。無反応だし。
わたしは三橋君の目の前に回って彼が逃げないように肩をガシッと掴んだ。

「三橋君!」
「…さん…な、なに?」
「いい加減気になるから言うけど、なに?
わたしに何かついてる?目、あったら逸らすってなに?」

ビクゥッ!としたように三橋君が目を泳がせる。
その行動は何なんだ。
ハッキリ言ってよ!そう言おうとしたとき
ガタン!とイスから勢いよく立ち上がりわたしの腕を掴んで三橋君が教室から出た

「なに!?三橋君!」
「さ、ん。ご…ごめん」

イキナリ謝られてもこまるよ。
ほんとうなんなの?

「なにがごめんなの?」
「い、や…あの、目逸らしたこと…」
「そうだよ!あれ意外と傷つくんだよ!?」
「え!?…ほんとうに、ご、めん」
「そんなに謝らなくてもいいからさ、なんで目、逸らすのか教えてくれればいいよ」
「う………」

黙ってしまったよ三橋君。どうすればいいの?
はぁ〜と溜め息をつきながらどうしようかと考え込んでいた時

「オ・・オレ!!さん…ス、スキなんだ!!!」

なんて告白されましたよ。
状況がつかめないし、なんでこのタイミング!?
でも三橋君は嫌いじゃない。むしろちょっと好き?
ちゃんと、もっと、三橋君のことが知りたい。

「ありがとう。三橋君。わたしも三橋君のこと嫌いじゃないよ」
「ほ、ほんとう!?」
「ほんとだよ。でもね、まだ付き合うとかわたしわからないの。
だからさ、これからちょっとずつでもいいから、お互いのこと知っていこうよ」
「オレ、も、付き合うとか…わ、かんないから。そう言ってくれると…嬉しい」
「そっか。じゃあ決まりだね。これからよろしくね!!」
「うん!こちら、こそ…」

そういってまたふい、と目を逸らされた。
これは三橋君のクセ?そう認めるしかないのかな?
でも、ちょっと気に食わないなぁ。

「三橋くん!」
「な、に?さん」
「今度からあたしと目があったときは逸らさないこと。これ、守ってくれる?」
「うん!!守れるよ!」

そう力強く言ってくれた三橋君にちょっと男らしさを感じた。
この小さなスキがこれから大好きに変わればいいな。


逸らしがちな視線

1000hit記念【ときめかせる君の罪】より。